一日一杯、そう決めているものがある。
それはコーヒー。
好きがゆえに、20代の頃一日10杯くらい飲んでいたら
ある日アレルギーみたく肌に異変が出てしまい、
それ以来、一日一杯と決めて毎日の楽しみにしている。
今日はどの時間にコーヒーを淹れようかな、
そんなことを考えて毎日仕事に取り掛かる。
そんなことが日々のささやかな幸せ。
豆をガリガリ挽いてお湯を沸かし一連の動作を毎日していると、
その日の所作の具合で
ああ今日は何だか疲れているな、とか
今は頭がすっきり、はたまた考え事で頭がいっぱいだね、
と毎日の自分の状態が俯瞰でバロメーターのように分かるようになってきた。
一杯のコーヒーを淹れるという
たったそれだけの事だけど、無限に世界が広がる。
丁寧に自分のために淹れる。
意外と自分のためにしていることはそう多くない。
いつの間にか自分は後回しで誰かを無意識に優先していたりする。
だから自分が喜ぶことをちゃんと大切に、と胆に銘じている
服ひとつとっても、自分が喜ぶ服を着る。とてもシンプル。
そういった小さなことに正直でいれば、とても豊かだ。
そしてこれはお施主さんからいつも学ばせてもらっていることでもある。
依頼してくれた方達は皆、自分の軸をちゃんと持ってそれをとても大切にしている。
決して安くない家、それぞれに家というものに価値を見出し私たちに依頼してくれる。
私の中では一杯のコーヒーと、家をこだわって作るということは同じこと。
この仕事を通して、素敵な方達に巡り会えて嬉しい。
2024.12.20 ando.Y